旅の終わりは奈良の薬師寺、長谷寺へ
今回の旅もいよいよ終わり、最後の目的地は奈良の美術館と寺巡りである。
高野山との別れを惜しみながら奈良に向け出発、目的地である松伯美術館に昼過ぎに到着する。ここは、妻が上村松園の絵が好きで、いつか寄ってみたいと常々話していた美術館であるが、思ったよりも小ぢんまりとした美術館であった。中に入ると、確かに松園の絵はあったものの、わずか1枚のみ、息子や孫の松篁、淳之の絵を含めても、常設展示の1室に限られ、他の展示室には、企画展として「山口華陽」の動物絵ばかりが展示してある。よく調べて行かなかった私達も悪いが、松園の絵を楽しみにわざわざ寄った妻としては、詐欺に遭ったよう気分であったに違いない。私がアンケート用紙に妻の代弁として厳しい意見を書き記す結果となった。
松伯美術館への大きな失望と、カーナビの誤案内でひどく疲れてしまい、最後に久しぶりに東大寺の大仏様でも見て宿に行こうかと、東大寺近くの県営駐車場に寄ると、何と普通車の駐車料が一日千円と書かれており驚く。時刻は既に午後4時を過ぎており、東大寺の大仏様を見るだけで駐車料千円は馬鹿げている。ここの駐車場は皆こんなシステムと料金なのかと周辺の民間の駐車場も見てみたが同様であった。どうやら高額の料金設定で、マイカーによる観光地巡りを制限しようとしているのかもしれない。夕刻、宿に車を駐め、飛火野の鹿や興福寺の五重塔などを見て回る。
明けていよいよ旅行最終日、最初の目的地は薬師寺である。薬師寺はこれまでも何回か訪れており、今回の目的は寺院内の見学ではなく、薬師寺の東塔、西塔を池越しに見る風景をカメラに収めることにあり、すぐにそれらしき場所を探し出すことができたが、そこには、すでに先客がおり、中高年の女性グループがそれぞれ絵筆を持って素晴らしい風景を描いている。その側で私一人がカメラを持ってバシャバシャとシャッターを切る。朝焼けの時間であればもっと素晴らしい風景なのだろうにと欲がでるが仕方がない。
次に今回の旅行の2番目の目的地、長谷寺に向かう。
長谷寺は、ぼたんをはじめ、花の寺として有名な真言宗のお寺であるが、遡ること30数年前、学生時代に友人達と一度行ったはずなのだが、まったく寺の様子の記憶がない。西名阪を壊れそうなオンボロ軽自動車で走った記憶だけが鮮明に残っている。
今回訪れてみても、まったく記憶は蘇らず、初めての新鮮な感動を得ることができたが、最も花のない時期にやってきたことが惜しまれてならない。入り口の仁王門から本堂までの399段の登廊を上り、一番上の国宝とされている本堂にたどり着くと、ご本尊である10メートルはあるであろう巨大な「十一面観音」に驚く。丁度僧侶達のお勤めの最中で、読経の声
が響き渡っている。この本堂は、京都の清水の舞台同様舞台があり、この上に上がると、広い長谷寺全体の様子が見渡せる。この本堂の他、仁王門、下登廊、繋屋、中登廊、蔵王堂、上登廊、三百余社、鐘楼、繋廊が重要文化財に指定されている。
見学を終え、お土産店で花の形をしたお守りを購入し、そろそろ降りようかと話していたら、ホラ貝の音が聞こえてきた。音のす
る方向に急いで走り寄ってみると、二人の若い僧侶が鐘楼の中から下界に向けてホラ貝を吹き続けている。演奏?を終えた僧侶達に聞いてみると、これは正午を知らせる時報で毎日やっているとのことで、いいタイミングに出会えたことに感謝する。なかなか生のホラ貝の音を聞く機会はないだろうから。
旅行はこれで終わり、500キロ前後の帰路を走りきり我が家に辿り着いた。今回も事故なく無事帰ることができたことに感謝である。
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(あしゅく)・宝生(ほうしょう)・無量寿(むりょうじゅ)・不空成就(ふくうじょうじゅ)の四仏が配してある。その大きさに圧倒される。










